長期優良住宅とは
長期優良住宅は、長く安心・快適に暮らせる家。平成21年(2009年)にスタートした「長期優良住宅認定制度」の基準をクリアし、認定を受けている家が「長期優良住宅」と呼ばれている。新築一戸建ての場合、下にある項目が主な認定基準です。
① 長期に使用するための構造及び設備を有していること
② 居住環境等への配慮を行っていること
③ 一定面積以上の住戸面積を有していること
④ 維持保全の期間、方法を定めていること
⑤ 自然災害への配慮を行っていること
上記のうち①は建築物に関する技術的な基準で構成されており、その多くは住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能表示制度の基準を準用しています。また、上記①~⑤の全ての措置を講じ、所管行政庁(都道府県、市区町村等)に認定申請を行えば、長期優良住宅としての認定を受けることが可能となっています。
長期優良住宅を受ける8つのメリット
①不動産取得税の軽減(家を新築したときや取得したときに1度だけかかる税金)
不動産取得税とは、土地や建物を買ったときにかかる税金のことです。地方税であり、納税先は都道府県になります。
(固定資産税評価額―控除額)×3%=軽減された所得税
固定資産税評価額が2800万円の時の不動産所得税
一般住宅 (2800万-1200万)×3%=48万円
長期優良住宅の場合、(2800万-1300万)×3%=45万円 3万円お得
②登録免許税
登録免許税とは、不動産売買による所有権移転登記や、ローン完済後に抵当権抹消登記をする際に納付する税金です。
一般住宅 2800万×0.15%=4.2万円
長期優良住宅の場合、2800万×0.1%=2.8万円 1.6万円お得
③住宅ローン控除拡充
(最大で13年間、年末時点での住宅ローン残高の0.7%が所得税から控除)
「住宅ローン控除」とは、住宅ローンを利用して住まいを購入した場合に、「年末時点での住宅ローンの残高の0.7%」が、入居時から最長13年間にわたって、給与などから納めた所得税や住民税から控除される制度のことをいいます。
一般住宅 3000万 トータル最大控除273万円
ZEH3500万 トータル最大控除409万円
長期優良住宅の場合、4500万 トータル最大控除455万円
※長期優良住宅のメリットがあるのは、借入金額が4000万円を超える場合
④固定資産税の軽減
固定資産税は、毎年1月1日時点で住宅やマンション、土地などの固定資産を所有する方が支払う税金です。地方税であり、納付先はお住いの自治体となります。
固定資産税評価額:2,800万円、木造2階建て、延べ面積105.78㎡(32坪)の場合新築後、一般住宅の場合3年間
長期優良住宅場合は、5年で39.2万円お得
⑤住宅取得等資金にかかわる贈与税の非課税額アップ
住宅取得者の初期負担の軽減を通じて、良質な住宅ストックの形成と居住水準の向上を図るため、父母や祖父母などの直系尊属から、住宅の新築・取得又は増改築等のための資金を贈与により受けた場合に、一定額までの贈与につき贈与税が非課税になる制度です。
一般住宅 500万円
長期優良住宅場合、1000万円
⑥住宅ローン金利優遇
借入金利を一定期間引き下げる「フラット35」S金利Aプランが利用可能
2022年10月申込受付分よりポイント制へ変更となりました。
長期優良住宅 3ポイント 当初5年 -0.50% 6年目~10年目まで-0.25%
⑦地震保険料の割引
長期優良住宅の場合、地震保険の割引を受けることができます。長期優良住宅の認定基準の中には耐震性が含まれているので、長期優良住宅の認定基準を満たしているのならば地震保険の耐震等級割引あるいは免震建築物割引のどちらかの条件は必ず満たしているのです。
※割引を受けるには保険会社に基準を満たしていることの確認資料の提出が必要となります。
⑧補助金を受け取る場合がある
長期優良住宅を建てるとエネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援や2050年のカーボンニュートラルの実現を目的として国や自治体から補助金を受け取れます。
長期優良住宅を受けるデメリットは?
■着工までに時間がかかる
長期優良住宅の建築を着工するには、通常の住宅よりも1週間~1カ月、場合によってはそれ以上時間がかかる場合があります。これは、所管行政庁(建築確認申請を行う公共団体)による長期優良住宅の認定をもらってから着工する必要があるためです。
所管行政庁の審査を短くするように促すことはできません。しかし、申請書類の作成や手続きをスムーズに進めることで、着工までの時間を短縮できる場合があります。長期優良住宅の建築経験が豊富でノウハウを持っている住宅会社は、申請や審査がスムーズに進む傾向があります。
■申請費用がかかる
長期優良住宅制度を申請するときには、認定申請書や複数の添付書類が必要です。このため、書類の作成や代行申請に別途費用がかかるケースが一般的です。
【申請費用の目安】
・設計図書類の作成 20万円程度
・技術審査や認定のための手数料 5万~6万円程度
さらに依頼先によっては代行申請料などが加わります。
■メンテナンスの履歴を記録しておく必要がある
・認定基準の「維持保全」内容に合わせメンテナンスを行う必要がある。
長期優良住宅制度の認定を受けるには、申請時に維持保全計画を立て、建築後はその計画を適切に実施する必要があります。さらに、大きな台風や地震の後には臨時点検の実施も定められています。
・所管行政庁が、一定の割合で抽出し「維持保全状況」の報告を求める場合がある。
認定した行政庁は建物完成後5、10,20,30年後に一定の割合の維持保全計画実施者に維持保全の状況調査を行います。行政から調査の依頼が有った場合は、建築やメンテナンスの状況に関する記録等を活用して報告を行う必要があります。
・是正指導や改善命令があったにもかかわらず改善されない場合、長期優良住宅の認定が取り消される。
計画に従って建築やメンテナンスを行わない場合は、認定を行った所管行政庁から改善を求められることがあり、さらにそれに従わない場合は、認定が取り消されることがあります。長期優良住宅の認定取得を条件とする補助金や税の優遇措置等を受けている場合、認定が取り消されると、返還を求められることがあります。
長期優良住宅取得の懸念事項として挙げられる「維持保全計画」ですが、実は内容見て頂くと分かる通り、維持保全計画の基準はかなり緩くなっており、通常かかるであろうメンテナンス費用とほとんど変わりないかと思われます。
長期優良住宅の認定取得を検討する際のポイント
長期優良住宅の認定取得でまず重要なのは、住宅会社や工務店の選定です。業者選びの際には、長期優良住宅の建築実績が多いか確認しましょう。特に耐震構造や省エネルギー、ユニバーサルデザインなどの技術が高い住宅会社がおすすめです。実績が多く、技術力のある住宅会社であれば長期優良住宅の認定についても知識や経験が深いため、安心して相談できます。税制や住宅ローンなどの優遇面と建築コストを比較する場合は、ファイナンシャルプランナーなど専門家からアドバイスをもらうのも良いでしょう。
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